珍しいALIGN M690 修理事例
目次【本記事の内容】
- 1.ちょっと珍しいALIGN690の修理
- 1-1.貴重な中型サイズ
- 1-2.修理の経緯
- 1-3.原因はESC焼け
- 2.ドローンはどこまで修理できるのか
- 2-1.DJI製品は修理可能なケースが多い
- 2-2.DJI以外はパーツが手に入るかどうか
- 4.まとめ
ちょっと珍しいALIGN690の修理
ALIGN M690Lの修理を実施しました。国内(海外も含めて)のドローン販売シェアから想像すると、見かけることもかなりレアな機体が修理に入ってきましたのでご紹介します
貴重な中型サイズ
ALIGN社はヘリコプターを楽しんで見える方ならご存知だと思われますが、ドローンユーザーにはあまり知られていません。ドローンのラインナップは少ないですが、ヘリコプターは散布機までカバーしており、他には業務用のバキュームクリーナーまで幅広いラインナップになっています。台湾のメーカーで、過去には日立や東芝と業務提携もしていたようです。「M690L」は名前のとおりモーター軸間690mmの中型機です。一眼カメラを積んで飛ぶのにちょうどよいサイズですが、実はこのサイズはドローンの空白地帯で他にラインナップしているのはTarotくらいかと。安定性も悪くないのですが、昨今のDJI機に比べると動きが「ゆるい」印象はあります。DJI製品だとこのサイズはラインナップにないので貴重な機体です。最近のモデルは専用アプリがあり、DJIライクに使えるようですが、今回、入庫したモデルはFUTABAの10Jで制御する旧来型の運用になっています。ペイロードはおそらく2~3kgと推測します
修理の経緯
たまたま、弊社に「急ぎでドローンで空撮に入れないか」とお問い合わせがあり、事情を聞くと、当該機で空撮する予定だったが故障してしまい撮影ができなくなったようです。お話を伺うちに、「ついでに診てもらえませんか」となり弊社に持ち込まれました。当初は購入した店舗での修理を考え持ち込んでいたようですが、修理内容や金額面で折り合いがつかず「セカンドオピニオン」的に弊社が診ました。名古屋市内の写真館が所有する機体です。症状としては離陸させようと、スロットルを開けたらひっくり返ってしまったようで、製作機の初飛行とかソフトウェア設定を間違えてたまにやってしまう症状に似ていますが、これは専門店で購入されているとのことなので、原因は違うところにありそうです。
原因はESC焼け
M690Lを預かり拝見したところ、プロペラ周りに傷が見受けられますが、外観上はそれほどひどい状況ではありません。順番に各部のチェックを始めたところ、早々にモーターに異常が見つかり、アンプには焼けたような跡も。所有者からは「これまでほとんど飛ばしておらず、久しぶりに飛ばそうとスロットルを入れたらひっくり返った」と。おそらく、その時点でプロペラが1枚回っていなかったと推測されますが、アンプがいつ焼けていたいのかは今となってはわかりません。購入店ではジンバルも損傷あり、という判断でしたがこちらでテストやステータス動作を見る限りは何か不具合があるようにも考えられず、そこは様子を見るということで、飛行に直接関わるESCとモーターを交換しました
ドローンはどこまで修理できるのか
DJI製品は修理可能なケースが多い
DJI機は性能に対して価格が比較的安価なため、中途半端に修理するなら買いなおしが適切なケースもあり、特に空を飛ぶものなのでシビアに考える必要があります。それを踏まえて修理が適切なケースとしては・故障パーツが明確で交換可能
・飛行性能に直接影響しない
になります。具体的には
・MavicProに多いカメラジンバルの挙動不良
・Phnatomのスキッド折れ
がわかりやすい例です
センサーエラーは飛行に影響しますがアッセンブリーで交換可能なので修理可能です。
それに対して、
・水没
・アプリ上でエラーが出るが原因が特定できない
というケースはDJIに送ってすべてを点検してもらう方法がおすすめです
最近の機体はこれまで「パーツ」として存在してたESCやフライトコントローラ、送受信機が基盤一体になっており修理が難しくなっています
同じDJIでもS900,S1000はパーツ自体が出回っており比較的修理や故障診断がしやすく、理由は制御系と伝送系でパーツが異なっているためです。
テカナリエ社によるDJI製品の分解レポートは読みごたえがありますので、ご一読ください。DJIの技術力の高さが垣間見えます。
まるで“空飛ぶプロセッサ”、進化する中国ドローン―EE Times Japan 2016年12月09日
DJI以外はパーツが手に入るかどうか
ALIGNのドローンはあまりパーツが出回ってなく、代理店でしか調達ができない部品もありますが、今回は調達しやすい部品だったので弊社でも修理が可能でした。ESCであれば一式新しくしてしまうことも可能です。Tarotもパーツは多いので直しやすいですが、使っているケースをほとんど聞きません。ドローンは基本的に「組み合わせ」の技術で構成されているので、パーツさえ手に入れば直すことは可能です。
まとめ
ドローンを運用していくことでどうしてもトラブルは発生します。その際にオペレーションへの影響を最小限にできる機体選定が最も大切になってくるので導入する際は
・修理が速やかにできる
・代替機が確保できる
という点を検討してください。
弊社では修理や修理に伴うアップグレード、古くなった機体のアップデートも行っておりますし、これから導入したいの事業者向けのサポートもファイナンスを含めてサポートしていますのでお気軽にご相談ください。