【修理事例】ドローンのカーボンボディ、修理できる?
目次【本記事の内容】
- 1.高さ6mから墜落大破
- 1-1.墜落の概要
- 1-2.広範なダメージ
- 2.レーシングカーの技術で再生
- 2-1.メーカーからは断られる
- 2-2.カーボンボディ、どこで直す?
- 2-2.Twitterで聞いてみたら…
- 3.使いやすさも向上
- 3-1.アームは折りたたみ
- 3-2.輸送もOK!
- 4.まとめ
高さ6mから墜落大破
墜落の概要
今回持ち込まれた修理事例は他社で制作された産業用ドローンを墜落して壊してしまった話です。インフラ点検を手掛ける名古屋市内のユーザー企業から持ち込まれ、自社の施設内で練習していたところ建屋壁面に接触させてしまい高さ6mくらいから墜落したそうです。自重で10kg程度なので、クラッシュするのに十分な衝撃だったと思われます。
広範なダメージ
写真は修理直後ではなく弊社に持ち込まれてから撮影したものですが破損はかなり広範囲に及んでいます。モーターやカーボンアーム類はほとんど使い物になりませんでした。ボディは一見すると傷がついているだけのように見えますが接着面が剥離しており、その他ひび割れも多数あり、かなりの大ダメージです。カメラが載っていなかったのがせめてもの救いです。ドローンの機体保険は搭載しているカメラに適用されないケースもありますので、よくご確認ください。レーシングカーの技術で再生
メーカーからは断られる
このドローンはカーボンを使った成形をされているため、修理に関してはノウハウを必要とします。この場合このボディーをそのまま修理するのか、メーカーからホワイトボディを取り寄せて修理するのか、どちらかを選択するのが一般的です。メーカーに問い合わせたところボディー単体での提供は行っておらずドローン一式を購入するほかないと言われ見積もりを取り寄せたところ400万円程度という結果でした。ユーザ側では保険を300万円程度かけていましたが予算オーバーです。そうなると選択肢は修理になります。
メーカーからすれば自社で品質管理して提供したいという事だと思われます。
カーボンボディ、どこで直す?
この記事を読んでいる読者の皆様、カーボンが破損した時にどこへ修理に持ち込むかすぐにあてはありますか??お近くに「カーボンボディ直します」という看板があるという方はかなり少ないと思います。カーボンを使った製品も増えてきましたが「修理」となると意外と思いあたりません。カーボンボディの整形そのものは炭素繊維と樹脂を使ったものなのでFRP成形に近い工程になります。そうなると自ずと修理相談する先が浮かんでくるものです。そうです自動車修理や板金屋です。車が好きな方ならぴんとくると思いますがアフターパーツ売られているバンパーはほとんどはFRPです。そこでFRTPンパーの修理を手がけている修理工場にいくつか問い合わせてみましたが、「カーボンの成形はやれなくは無いけど、ドローンのボディーとなると自動車のノウハウは使えるのかちょっと自信がない」と言う回答がほとんどです。振り出しに戻ります。
Twitterで聞いてみたら…
そんな中、どこか良い引受先がないかと思い弊社の代表が個人的にこの話をTwitterで投稿したところ、なんと三重県鈴鹿市にあるレーシングカーを制作するファクトリーをご紹介いただきました!早速問い合わせたところ、カーボンを使った成形はもちろん得意で、ドローンの制作経験もあるとのことで早速お伺いして相談し、お願いすることになりました。レーシングカーはボディーのほとんどはカーボンですし、またそのほとんどが一品製作または少量製作なのでまさに今回のような案件がヒットします。さらに実物をお見せしたところ、経年劣化でかなり質が悪くなっているのでこのまま修理するよりはそっくりそのまま再生策したほうが品質面でも安定するとのご提案をいただき、現在あるボディーをもとに原型を作って改めて作り直すことになりました。もちろんお客様の予算内で収まりそうな話です。ドローンがレーシングカーの技術で再生されるってかっこいいですね使いやすさも向上
アームは折りたたみ
現在、世界中で被害が拡大している新型インフルエンザにより国際的な物流が滞っているためパーツの到着が遅れ納期のリスケを余儀なくされるなどのトラブルはありましたが何とか完成し、実際の現場でフライトさせることができました。今回の修理にあたっては少しでも使い勝手を向上させようと、アームは折りたたみ式にしました。最近の大型ドローンは折りたたみ式は当然ですが、この機体が当初制作された頃は折りたたみではなく取り外し式で「現場でのセッティングが非常に手間だった」とお客様から伺ったので少しでも使いやすくするため変更しました。またバッテリーハウジングを腹下に移設したことに伴いカプラーは防水機能を持たせたものを制作しました。16,000mAhのバッテリーが2本しっかり搭載できるハウジングです。
輸送もOK!
機材は運搬も考えて、このドローンにフィットした輸送ケースも用意しました。滑車つきなので、このケースのまま動かすことができ、かつ、宅配事業者で運べるサイズでフォークリフトのツメも入るようになってます。遠方の現場が多いとのことで、過去にはドローンを積んで1000km走った話も聞いたので、機材だけ輸送できればかなり人の動きを抑えられます。まとめ
弊社ではドローンの修理に伴い技術的なアップデートだけではなく実際の現場の運用も考慮した工夫の提案をさせていただいております。今回のような特殊なドローンの修理を承っておりますのでお気軽にご相談ください
ご相談は電話やメールに加えてオンラインアプリケーションを使った相談にも対応しております。対応できるアプリケーションはGoogle、 Skype、CISCOウェブエックスミーティング等、多岐に渡りますのでご相談ください!