レポート2018.07.12

【スマート林業】林業でのドローン活用検証を目的とした共同実験の実施

スマート林業 列状間伐でドローンは飛べるのか
近年、「スマート林業」という言葉が注目を集めています。スマート林業は、最新のテクノロジーを林業に活用し、現場調査や森林管理などに役立て、作業の効率化を計る取り組みです。

弊社では2018年6月30日(土)、ドローンを活用したより実践的な実証実験を、森林文化アカデミーと共に実施しました。

現在、林業には多くの課題があります。それらの課題をドローンの活用によりどう解決できるのか、今回の実験内容とともにご紹介します。

林業における課題



他の業界と同様に、林業においても「人手不足」が課題の一つとして挙げられています。国は「緑の雇用」事業などの施策を行い、新規就業者の増加をはかっていることはご存知の方も多いでしょう。

また、林業従事者の高齢化も重要な課題です。若年層の割合は、年々増えてはいるものの、その後定着・就業し続けることができる環境を整えることが求められています。

これらの課題を解決するためには、林業全体における経営改善による賃金上昇などに加え、若年層の就業者が定着するための「作業性の向上」も欠かせません。

従来、作業現場では大型機械を用いることにより作業の効率化をはかってきました。しかし、導入費用が高額になること、機械を扱う技術力を要することから「より最適な技術導入を模索したい」という林業従事者の方が多くいらっしゃるのも事実です。特に、切り出した木材を運搬するための架線作業は、どうしても人手に頼らざるを得ない状況であることに加え、時間を要します。

そのような現場の声を基に、当社では架線作業の効率化に活用できるドローン「飛来君」を開発いたしました。

サクラボテクノロジーズが林業に関わる経緯



飛来君
当社と林業の関わりは、2016年から始まります。中国地方の大手製材会社から「ドローンを使ってケーブルを運べないか」という相談があったのがきっかけです。

相談内容を伺い、技術的には可能な内容であったため、森林文化アカデミーと現場での実証を重ねることに。実証実験では主に、使用環境の調査や作業性の確認を行い、より実践的な活用法を検証してきました。
そこから誕生したのが、飛来君です。飛来君を用い、徐々に太いケーブルに変えていく準備段階の架線作業に、ドローンを活用することを提案しました。現在は、多くの林業関係者の方からご支持をいただいており、林業の現場で活躍しています。

ドローンを活用し列状間伐で架線作業



これまで飛来君の実証実験としては、皆伐地が中心に作業工程の検証を行ってきました。
皆伐地
皆伐地

しかしながら、架線集材の現場は皆伐ばかりではなく、列状間伐の現場においても行われます。今回の実験では、列状間伐の環境下での飛行にどのような問題や課題があるか検証を行いました。

往路
往路

復路
復路

空間幅の狭い列状間伐で、「ドローンが安定してケーブルを運ぶことができるか」「安全に戻ることができるか」の確認作業を行いました。

今回の実験は無事にリードケーブルの運搬が達成でき、列状間伐でドローンを実際に運用する上で注意すべきこと、本格導入に向け必要なことが明確となった、有意義な内容になりました。また一歩、スマート林業へと近づくことができそうです。

林業の効率化に貢献していきます



林業ドローン
【実験を行った杉本先生他メンバー】

林業の現場で実際に作業をされている方の声に耳を傾けながら、より最適な内容をご提案することが、当社のミッションの一つと考えております。 当社では、8月に岐阜県森林文化アカデミーにて現場でドローン活用を促す研修会を開催予定です。ドローンの基礎知識や活用事例を解説した上で、具体的な操作方法・使い方までを実践を通して学ぶことができます。これまで弊社とアカデミーを行った実験からのフィードバックもあります

【森林文化アカデミー 林業にドローンを活用しよう!〜第2弾〜】
■開催日時:2018年8月10日(金)
■開催場所:岐阜県立森林文化アカデミー テクニカルセンターA
■定員:40名
■申込締め切り日:2018年7月27日(金)
■参加費:不要

<お申し込みはこちらから>

林業にドローンを活用しよう! 〜第2弾〜



先日行った実証実験の詳細についても、お話させていただく予定です。
ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

【自治体の方へ】
こんな時はご相談ください
「林業の現場へ新しいテクノロジーを浸透させるきっかけが欲しい」
「普及に向けた実証実験を考えたい」
「実情がよくわからないので話を聞きたい」
メールでも電話でもお気軽にご相談ください。発注のあるなしに関わらず対応していますので、ご安心ください。弊社としては問い合わせを通じて、現場でどんなことが課題になっているのか知る機会にもなりますので、喜んで受け付けております!